ギフティングで素晴らしい投稿(UGC)が生まれました。「この写真、LPに使いたい!」「この動画をWeb広告で回したい!」と考えるのは当然です。実際、プロが撮影した素材よりも、インフルエンサーのUGCの方が、クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)が高いというデータは枚挙にいとまがありません。
しかし、ここで立ち止まってください。「無断使用」は、著作権侵害という立派な犯罪です。ネット上の画像は、右クリックで保存できても、勝手に使っていいフリー素材ではありません。
この記事では、インフルエンサーとの良好な関係を壊さず、安全かつ効果的にUGCを「二次利用」するためのルールと交渉術を詳しく解説します。

「二次利用」の定義:どこまでOK?
まずは「何がOKで、何がNGか」を整理しましょう。
| 行為 | 許可の必要性 | 解説 |
|---|---|---|
| リポスト(ストーリーズ等) | 基本不要(マナーとして連絡) | プラットフォームの利用規約上は許容されていますが、著作権法上の「引用」に該当するかは判例が確立していません。念のため事前に許可を取ることをおすすめします |
| 埋め込み(Embed) | 基本不要 | Instagramの埋め込みコードを使ってWebサイトに表示させる行為 |
| LP・バナーへの画像転載 | 絶対必要 | 画像をダウンロードし、自社のサーバーにアップロードする行為 |
| 画像の加工・トリミング | 絶対必要 | 元の写真に文字を入れたり、一部を切り抜く行為 |
| 紙媒体(チラシ等)への掲載 | 絶対必要 | デジタル以外への利用も別途許諾が必要 |
結論: 「画像を保存(DL)」するなら、必ず許可が必要です。
賢いオファーの方法:Win-Winを作る
いきなり「画像ください」と言っても断られます。相手にもメリットがある提案をしましょう。
オファーのタイミング
投稿された直後がベストです。「素敵な投稿ありがとうございます!」というお礼の流れで相談するのがスムーズです。
交渉メッセージの例
「〇〇様の投稿写真が本当に素敵で、弊社のブランドイメージにぴったりでした。もしよろしければ、弊社の公式サイト(TOPページ)にて、お客様の声としてご紹介させていただけないでしょうか? もちろん、〇〇様のアカウントへのリンクも貼らせていただきます。」
「あなたの写真が素晴らしい」と褒める。「リンクを貼る(被リンク効果)」ことで相手の知名度向上に貢献する。
「有償」か「無償」か? 費用の相場
トラブルの元である「お金」の話。基本的には、「広告(有料配信)」に使うなら有償、「自社サイト(オーガニック)」なら無償〜少額、という線引きが一般的です。
無償(または商品提供のみ)
- 自社公式サイトへの掲載
- 自社SNSでの紹介
有償(二次利用料が発生)
- Web広告(Instagram広告、ディスプレイ広告など)のクリエイティブとして使用
- チラシ、店頭POPなどへの印刷
相場観
- 期間制限あり(3〜6ヶ月):1〜3万円 / 枚
- 期間制限なし(買い取り):3〜10万円 / 枚
- ※フォロワー数や影響力によって大きく変動します。事務所所属の場合は一律料金が決まっていることが多いです。
Instagram「ブランドコンテンツ広告」の活用
最強の二次利用と言われるのが、Instagram公式機能である「タイアップ投稿(ブランドコンテンツ広告)」です。これは、インフルエンサーの投稿を、インフルエンサーのアカウント名義のまま、企業がお金を払って広告配信できる仕組みです。
「企業広告」ではなく「第三者の投稿」としてタイムラインに流れるため、広告スキップされにくい。
方法: インフルエンサー側で「タイアップ投稿ラベル」を付けてもらい、企業側で広告マネージャから配信設定を行う。
これはWin-Winの関係(企業は広告効果UP、インフルエンサーはフォロワー外への露出UP)なので、比較的承諾されやすい手法です。

契約・許諾の証拠を残す
口約束(DM)だけでは危険です。後で「そんなつもりじゃなかった」「期間が過ぎている」と揉める原因になります。可能な限り「二次利用許諾書」を交わしましょう。最低でも、以下の項目をDMで明文化し、「同意します」という返信をもらってください。
DMで確認すべき5項目
LPのみか、Web広告も含むか。
3ヶ月か、無期限か。
トリミングや文字入れをして良いか。
無償か、有償(いくらか)か。
契約期間中、他社商品のPRを制限するか(※これを縛ると高額になります)。
よくある質問
絶対にダメです。返信がない=NOです。無断使用が見つかった場合、損害賠償請求だけでなく、炎上して社会的信用を失います。
必ず事前に確認してください。インフルエンサーは自分の写真の世界観(トーン)にこだわりを持っています。勝手にダサい文字を入れられることを嫌がります。「広告用に文字を入れさせていただく可能性がありますが、よろしいでしょうか?」と一言聞きましょう。
速やかに画像を削除(掲載終了)してください。バナー広告などは配信停止を忘れないように。期間管理(エクセル等)は担当者の最重要タスクです。
バレます。今は画像検索技術も発達していますし、そもそもファンの目は誤魔化せません。「〇〇さんの写真が勝手に使われてますよ」とファンから通報が行き、発覚するケースが殆どです。誠実に対応しましょう。
本記事の法律・税務に関する記述は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な判断については、税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。
まとめ
- 「二次利用」の定義を明確にし、画像保存時は必ず許可が必要
- タイムリーで相手にメリットのあるオファーが承諾率を上げる
- 広告利用の場合は有償、サイト掲載は無償〜少額という線引き
- ブランドコンテンツ広告はWin-Winの効果的な手法
- 契約書やDMで5項目を明文化し、証拠を残すことが必須
UGCは、インフルエンサーという「クリエイター」が魂を込めて作った「作品」です。その作品を借りてビジネスをする以上、敬意と対価を払うのは当然のマナーです。正しい手続きを踏んで活用されたUGCは、あなたのサイトを彩り、迷える購入者の背中を押し、売上を押し上げる最強の武器になります。「借りる」意識を忘れずに、UGCという資産を最大化させましょう。
