ギフティング担当者が直面する「あるあるトラブル」があります。「発送して1ヶ月経つのに音沙汰がない…」「催促したらブロックされた…」「メルカリに出品されていた…」これらは、ギフティング施策を行っていれば必ず直面する課題です。
人と人とのやり取りである以上、100%防ぐことはできません。しかし、「起きる前の予防策」と「起きた後の対処法」を知っていれば、ダメージを最小限に抑えることができます。
この記事では、企業の担当者を守るためのリスク管理術を詳しく解説します。

最大の悩み「投稿されない問題」
無償ギフティングの投稿率は、一般的に30〜50%です。つまり、半分は「持ち逃げ(投稿されず終了)」になります。これを前提としつつ、少しでも率を上げるための対策を紹介します。
原因①:忘れている(悪気はない)
インフルエンサーは日々大量のDMと荷物を受け取っています。
商品到着予定日の翌日に「無事に届きましたでしょうか?」と一報入れるだけで、リマインド効果があります。「親切な担当者」という印象も与えられます。
原因②:商品が気に入らなかった
写真は綺麗に撮れても、使用感が合わなければ「嘘をつきたくない」から投稿しません。
依頼時に「もしお肌に合わない場合や、イメージと異なる場合は、無理に投稿いただかなくて大丈夫です」と逃げ道を作ってあげましょう。これにより、「投稿しない=悪いこと」という心理的負担を減らし、逆に「誠実な企業」として好感度を維持できます。
原因③:投稿する義務がないと思っている
「プレゼント(無償)」という言葉を、「ただの贈り物」と解釈しているケースです。
発送前のフォーム入力時に、「商品到着後、2週間以内の投稿にご協力いただけますか?」というチェックボックス(必須)を設けることで、心理的な契約(コミットメント)を結ばせます。
角を立てない「催促メール」の技術
「投稿まだですか?」とは絶対に言ってはいけません。相手の罪悪感を刺激せず、自然とスマホを手に取らせる魔法のフレーズを使いましょう。
「〇〇様、先日はお受け取りありがとうございました。その後、商品の使い心地はいかがでしょうか? もしご不明点や、使い方で迷われることがあれば、いつでも開発担当の私にご連絡くださいね。〇〇様のペースでのご投稿、楽しみにお待ちしております!」
ポイント
- 「使い心地の伺い」という体裁を取る
- 「楽しみにお待ちしております」で、期待していることをやんわり伝える
「転売」を発見してしまったら
メルカリやPayPayフリマで自社商品の「新品未使用」を見つけた時、担当者は絶望します。中には「撮影のため開封済み」と書かれていることもあります。
やってはいけないNG行動
- インフルエンサー本人に「転売しましたよね?」と詰め寄る
- フリマアプリのコメント欄で「これは転売品です」と書き込む
これらは証拠がない限り名誉毀損になるリスクがあり、逆恨みされてSNSで晒される可能性があります。
正しい対処法
そのインフルエンサー(と思われる人物)をリストから除外し、二度と送らない。社内で情報を共有する。
パッケージに「Sample」「Not for Sale」という管理シールを剥がしにくい場所に貼る。または、あえて箱に「〇〇様へ」と手書きメッセージを直書きする(転売価値を下げる)。
転売される=市場価値がある証拠、と割り切るメンタルも必要です。転売対策に時間を割くより、新しい優良インフルエンサーを探す時間に充てましょう。

住所間違い・配送トラブル
「届きません」と連絡が来た場合、宛先不明で戻ってきているケースが多いです。
- 対策:住所入力フォーム(Googleフォーム等)には、郵便番号からの自動入力機能を付け、間違いを減らす
- 対策:発送完了時に「お問い合わせ番号(追跡番号)」を必ず共有する。「今どこにあるか」を相手自身で確認できるようにすることで、問い合わせの手間を減らせます
炎上リスク(ステマ疑惑・アンチ)
万が一、インフルエンサーの投稿が炎上した場合(ステマだと叩かれた、表現が軽率だった等)、企業はどう動くべきでしょうか。
基本的に、インフルエンサー個人の炎上に企業が首を突っ込むと火に油を注ぎます。
ステマ(PR表記漏れ)が原因なら、速やかに「企業から依頼した事実」と「表記漏れについてのお詫び」を公式サイトで発表し、インフルエンサーを守る姿勢を見せます。これ以上の拡散を防ぐためです。
よくある質問
基本的に「返却不要(買取)」で進めてください。返送の手間をインフルエンサーにかけると、それだけで嫌がられます。高額商品(高級家電やブランドバッグ)の「貸出」の場合は、事前に着払い伝票を同梱し、貸出期間を明確に契約する必要があります。
「比較レビュー」はユーザーにとって有益な情報なので、止めることはできません。むしろ、競合と並べられることで「比較対象になるレベルのブランド」として認知されたとポジティブに捉えましょう。ただし、明らかな誹謗中傷(競合を上げるために自社を下げる嘘など)がある場合は、修正を依頼しても構いません。
3回連絡して返信がなければ、諦めましょう。深追いはストーカー扱いされるリスクがあります。「ご縁がなかった」と割り切り、ブラックリストに入れて忘れるのが一番です。
まとめ
- 投稿されない原因は3つ(忘れてる・気に入らない・義務と思ってない)と対策法
- 罪悪感を刺激しない「魔法のフレーズ」を使った催促テクニック
- 転売発見時のNG行動と正しい対処法
- 住所入力フォームの工夫で配送トラブルを減らす
- 炎上時は「静観」と「ステマ対策」の2段階対応
トラブルは「起きるもの」です。起きた時に、感情的にならず、淡々と事務的に対処できるかが、プロのマーケターの腕の見せ所です。9割は良い人ですが、1割の合わない人がいます。その1割に振り回されて、9割の可能性を閉ざしてしまわないように。リスク管理という防具を身につけて、果敢にギフティングの海へ漕ぎ出しましょう。
