インフルエンサーとしてSNSで活動していると、「ギフティング」という言葉を耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。企業からDMが届いたり、他のインフルエンサーが「#提供」と付けて投稿しているのを見て、「あれって何だろう?」「自分にも来るのかな?」と気になっている方も多いはずです。
ギフティングは、インフルエンサーとしての活動を大きく飛躍させるきっかけになる魅力的な仕組みです。一方で、「税金はどうなるの?」「怪しいDMが怖い」といった不安もつきものです。
この記事では、「ギフティングって何?」という初心者の方に向けて、基本の仕組みから、メリット・デメリット、知っておかないと怖い法律や税金の話まで、分かりやすく徹底解説します。

そもそも「ギフティング」って何?
ギフティングとは、ひとことで言えば「企業から商品を無償で提供してもらい、その感想などをSNSで紹介するPR手法」のことです。
企業が「ぜひこの商品を試してみてください」とインフルエンサーに商品を「プレゼント(Gift)」し、インフルエンサーはそれを実際に使って、フォロワーに向けて口コミ的に紹介します。
企業にとっては、自社の広告よりも、消費者に近い目線を持つインフルエンサーの「リアルな体験談」のほうがフォロワーに受け入れられやすいというメリットがあります。口コミの種(Seed)をまくという意味で「シーディング」と呼ばれることもあります。
ギフティングの2つの種類:「無償」と「有償(PR案件)」
インフルエンサーの方が最初に混乱しやすいのが、この違いです。ギフティングには大きく分けて2つの種類があり、報酬(お金)の有無で区別されます。
1. 無償ギフティング(商品提供のみ)
金銭的な報酬は発生せず、商品だけを提供してもらう形態です。「プレゼント」としての側面が強く、インフルエンサーが「良い」と思った場合にのみ自主的に紹介するという建付けになっています。
- インフルエンサー側の特徴:投稿するかどうかや内容は基本的にインフルエンサーの自由。自分の言葉で率直なレビューがしやすい
- 企業側のリスク:投稿が必ず行われる保証はなく、内容もコントロールできない
2. 有償ギフティング(いわゆる「PR案件」)
こちらが一般的に「PR案件」や「タイアップ」と呼ばれるもので、商品の提供に加えて金銭的な報酬(いわゆるギャラ)も支払われる形態です。
- インフルエンサー側の特徴:報酬が発生する「お仕事」のため、投稿義務がある。投稿日時・内容・ハッシュタグ(#PR など)を事前に企業と取り決めるのが一般的
- 企業側のメリット:コストはかかるが、確実に計画的なPR投稿を実施してもらえる
| 項目 | 無償ギフティング | 有償ギフティング |
|---|---|---|
| コスト | 商品代 + 送料 | 商品代 + 送料 + 報酬 |
| 投稿義務 | なし(任意) | あり(契約) |
| 内容指示 | 不可(お任せ) | 可(下書き確認あり) |
| 信頼性 | 高い(口コミに近い) | 普通(広告として見られやすい) |
つまり、「ギフティング」という大きな枠の中に、「無償ギフティング」と「有償ギフティング(=PR案件)」があると考えると分かりやすいでしょう。

インフルエンサーがギフティングを受ける3つのメリット
では、インフルエンサーにとって、ギフティング(特に無償ギフティング)を受けることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
メリット1:話題の新商品を無料で試せる
なんといっても一番のメリットです。気になっていたコスメやアパレル、ガジェット、食品などを、購入する前に無料で試すことができます。買うか迷っていた商品を企業から提供してもらえるのは、シンプルに嬉しいポイントですよね。
メリット2:SNSの投稿ネタが充実する
「今日は何を投稿しよう…」とネタに困ることもあるかもしれません。ギフティングで商品が届けば、それを切り口にした新しい投稿が作れます。フォロワーにとっても新商品のレビューは関心の高い情報のため、「いいね」やコメントなどのエンゲージメントが得られやすく、アカウントの活性化にもつながります。
メリット3:企業との「実績」ができる
ギフティングを受けるということは、企業との最初の「接点」ができるということです。一度ギフティングで良い投稿をして企業に信頼してもらえると、次の新商品でも声をかけてもらえたり、将来的に「有償PR案件」へステップアップするチャンスも生まれます。
ギフティングの「デメリット」や注意すべき3つの点
良いことずくめに見えるギフティングですが、受ける前に知っておきたい注意点もあります。
注意点1:希望の商品とは限らない
ギフティングは企業からの「オファー」です。自分の好みやジャンルとまったく異なる商品、興味のないサービスの依頼が来ることもあります。自分の世界観と合わない投稿を無理に続けると、フォロワーが離れてしまう原因にもなりかねません。
注意点2:投稿の手間やクオリティが求められる
「無料でもらえる」とはいえ、商品の魅力が伝わるように写真や動画を撮影し、文章を考える必要があります。無償であっても、企業の期待に応えようとすると相応の労力と時間がかかることは覚悟しておきましょう。
注意点3:ネガティブなレビューは書きづらい
無償ギフティングで「正直にレビューしてください」と言われても、商品を提供してもらった手前、「イマイチだった」とは書きづらいものです。無理にウソの感想を書くのはフォロワーの信頼を失いますし、正直に書きすぎると企業との関係が悪化する可能性もあり、バランス感覚が問われます。

ギフティングに関するよくある疑問
一概に「フォロワー〇〇人以上」という明確な基準はありません。企業が重視するのは、フォロワー数よりも「フォロワーの属性やジャンルの親和性」です。例えば、コスメ企業がフォロワー10万人の料理系インフルエンサーよりも、フォロワー1,000人の美容系特化アカウントを選ぶこともあります。特定ジャンルで熱量の高いコミュニティを持っていれば、少ないフォロワーでも十分に依頼が来る可能性があります。
多くの場合、InstagramのDM(ダイレクトメッセージ)やプロフィールに記載したメールアドレス宛に企業から連絡が来ます。「御社の活動を拝見し…」といった形で商品提供のオファーが届くパターンが一般的です。中には怪しいDMもあるため、見極めが重要です。
DMを待つだけでなく、インフルエンサー側から能動的に探す方法もあります。最近では「ギフティングプラットフォーム」と呼ばれる、企業とインフルエンサーをマッチングする専用サービス(アプリやWebサイト)が増えています。そうしたプラットフォームに登録しておくと、自分のジャンルに合った募集中の案件に応募できます。初心者の方はまずプラットフォームに登録して実績を作るのも一つの手です。
ギフティングで注意すべき法律と税金
ギフティングを受ける上で、「知らなかった」では済まされないのが法律と税金の問題です。ここを疎かにすると、フォロワーの信頼を失うだけでなく、法的なペナルティを受ける可能性もあります。
法律:「#PR」表記(ステマ規制)について
ギフティング投稿で「#PR」「#広告」「#提供」といった表記をよく見かけますよね。これは「ステルスマーケティング(ステマ)」を防ぐために必須の表記です。
ステマとは、企業から依頼された広告であるにも関わらず、それを隠してあたかも「個人の感想」のように見せかけて宣伝する行為です。日本では2023年10月から景品表示法の不当表示として規制されています。
無償ギフティング(商品提供のみ)でも「広告」に該当します。
「お金をもらってないから大丈夫」は通用しません。企業からの提供品を紹介する場合は、必ず「#PR」や「#提供」など、フォロワーが一目で広告だと分かる表記をしましょう。なお、規制の対象は主に「事業者(企業)」側ですが、インフルエンサーも社会的信用を失うリスクがあるため、表記を徹底することが重要です。
税金:ギフティングと確定申告
「タダでもらった商品」に税金がかかるの?と驚くかもしれませんが、税務上、金銭以外の物品(商品)の提供も「経済的利益」として課税対象(収入)になります。
会社員(給与所得者)の方が副業としてインフルエンサー活動をしている場合、ギフティングで得た商品の価値(収入)や有償の報酬などを合わせた「雑所得」が年間20万円(200,000円)を超える場合は、原則として確定申告が必要です。
「もらっただけだからバレない」と考えず、いつ・どの企業から・いくら相当の商品を提供されたかを記録しておく習慣をつけましょう。
補足:なぜ商品は「収入」とみなされるのか
税務の世界では「経済的に得をしたか」が基準になります。例えば、企業から1万円の商品をもらった場合、あなたは「1万円を支払わずに1万円の価値を手に入れた」ことになります。
これは企業から現金1万円をもらって同じ商品を買った場合と、経済的な結果は同じです。そのため、商品の現物提供であっても、その商品の時価(販売価格)相当の「収入」があったとみなされるのです。
本記事の法律・税務に関する記述は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な判断については、税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。
まとめ:ギフティングはインフルエンサー活動の第一歩
- ギフティングとは、企業から商品を提供してもらい紹介するPR活動のこと
- 「無償ギフティング」と「有償ギフティング(PR案件)」の2種類がある
- 商品を無料で試せる・コンテンツが充実する・企業との実績ができるなどメリットは大きい
- 無償でもステマ規制の対象。必ず「#PR」「#提供」を表記すること
- 商品の提供は税務上「収入」として扱われる。年間20万円超は確定申告が必要
ギフティングは、インフルエンサーとしての信頼をベースにした活動です。フォロワーの信頼を失わないためにも、法律やルールを正しく理解し、誠実な発信を心がけましょう。
まずはギフティングの基本とルールを正しく理解して、企業から依頼のDMが来たら、ぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか。あなたのインフルエンサーとしての活動を、さらに豊かにしてくれるきっかけになるかもしれません。
